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インタビュー
「迅速・妥当・丁寧」を理念に
事務所設立の経緯をお聞かせいただけますでしょうか。
以前は銀座の法律事務所に勤務していましたが、家庭の事情で退職しました。その直後、東日本大震災が発生し、修習地である福島の縁から原発事故関連の弁護団に参加しました。福島では多くの課題が山積しており、マスコミ対応も含め、多岐にわたる経験を積むことができました。
法的な知識だけでなく、弁護士としてのフットワークの軽さや精神的なタフさも身につけることができました。この経験を経て、震災関連の仕事が一段落した時に、自分一人で事務所を設立しようと決意しました。
事務所の理念を聞かせてください。
ホームページには「迅速・妥当・丁寧」を掲げています。この三つの要素には特に順番にこだわりがあります。弁護士にとって案件が2~3年かかることは珍しくありませんが、依頼者にとっては半年でも長く感じられ、精神的な負担が大きいです。
そこで、まずは迅速な対応を心がけています。しかし、スピードだけでなく結果が伴わなければ意味がありません。妥当な解決をしっかりと行い、さらに依頼者が満足するよう丁寧な対応を心がけています。
理念を実現するために実践していることはありますか?
弁護士だけで解決できるわけではありません。依頼者と協力して初めて解決できることなので、依頼者としっかりとコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことを大切にしています。
また、状況説明の際には、電話がいいのかメールがいいのか、直接会うのがいいのかなどを考慮し、依頼者が不安にならないように小さな進捗でも頻繁に連絡を取るようにしています。長期にわたる戦いでは、依頼者の精神的な疲労にも注目し、サポートしています。
家庭は人生の中心となる部分
離婚問題に注力する理由は何ですか?
家庭は人生の中心となる部分です。そこがうまくいっていないと他のすべてもうまくいかないと思います。逆に、家庭さえ安定していれば他の問題も何とかなると感じます。
家庭内の問題は当事者間では解決が難しいことが多いです。適切に対処し、依頼者の人生そのものを支えることに大きなやりがいを感じています。
しみず法律事務所が離婚問題で支持される理由は何だと思いますか?
実績が支持の理由だと思います。過去には不利と言われる男性側で親権を勝ち取ったこともありますし、子供の引き渡し問題など、困難な依頼も数多く解決してきました。特に子供に関する案件に力を入れていることが依頼者の信頼につながっているのかもしれません。
親権問題についてのご相談はどのような内容が多いですか?
様々な相談があります。一般的な親権争いのほか、親権者が決まった後に子供の意思と反していた、祖父母と暮らしたがっているなど、多様なケースを扱っています。また、お金で解決を望む人もいれば、人と人のつながりを大切にする人もいます。日々相談を受ける中で、離婚問題は一つとして同じケースはないと実感しています。
親権を取れなかった場合、どのように対応されていますか?
面会交流に力を入れます。決まり事を明確にしないと、親権を持つ側が会わせたくないと言い出して再度揉めることが多いです。新しいパートナーを見つけてから心変わりすることもあります。そのため、揉めないように、依頼者に満足してもらえる提案を心がけています。
初回のご相談はどのように対応されていますか?
人それぞれですが、基本的には「今後の道案内を行う」という意識で対応しています。
インターネットなどである程度情報を調べてくる方もいれば、全く分からない状態で相談に来る方もいます。どなたに対しても、法的な観点から問題のポイントや解決方法を伝えます。その上で、経済的な不安がある方には生活の整え方を、離婚に迷っている方には気持ち
の確認をします。
離婚をためらう方もいらっしゃるのですか?
多くいらっしゃいます。話をして整理がついたり、相談だけで満足される方もいます。弁護士に相談することで交通整理ができ、精神的に安定することがメリットだと思います。
これまでで最も印象に残った案件を教えてください。
親権者の変更を勝ち取った父親の案件です。
父親が親権を獲得することは難しいという情報がインターネット上などで出回っていますが、その父親(依頼者)は子供のために奮闘し続けました。
離婚後、子供と会えなくなった父親は、直ちに面会交流の調停を自身で裁判所に申し立てました。そうしたところ、母親側から子供が書いたとされる手紙が提出され、「お父さんとは会いたくない」と書かれていました。裁判所がこの手紙を重視し、依頼者は窮地に立たされました。
そんな中、その父親から私の事務所に相談がありました。
しかし、よく見ると、その手紙には違和感がありました。手紙は小学生の字で書かれていましたが、「裁判所」という漢字が使われていました。子供の年齢では習っていないはずの漢字です。これだけでは手紙が偽物だとは断定し切れませんが、依頼者は手紙が母親に無理矢理書かされたものであると確信し、親権を取り戻す決意をしました。
そんな最中、母親側の新しいパートナーに子供がいじめられ、子供が家出をして警察に保護され、児童養護施設に入れられました。通常、こうした状況でも母親から連絡がなければ父親は知ることができません。
しかし、依頼者は周囲とのネットワークを活用して、子供が施設に入れられたことを聞きつけ、その情報に基づき私の方で関係諸機関にその情報の裏付け調査を行いました。その結果、真実と判明し、親権を取り戻すために直ちに親権者変更の審判を申し立てました。
その後も努力を続け、課題とされた経済力の不安も克服しました。
ある日、裁判所の調査官が施設に面会に行き、依頼者(父親)の子供が父親の手品の話を夢中で語るという出来事がありました。その手品は依頼者が得意としていたもので、調査官と依頼者との面談のときに披露したものでした。
この出来事などをきっかけに、調査官は子供が本当に父親に会いたくないのか疑問を抱くようになりました。最終的に、この疑問が決定打となり、調査報告書で父親に親権を認める方向の意見が出され、親権者を父親に変更する審判を獲得することに成功しました。
その後、親権を獲得した依頼者は、児童養護施設に子供を迎えに行くことができました。直接対面した父子が泣きながら抱き合う、正にテレビドラマのワンシーンのような様子を目にし、長く苦しい状況下、依頼者とともに諦めることなく闘い続けて来て本当に良かったと思いました。この件は、今でも私にとって深く印象に残っています。
最後に、離婚問題で悩む方にメッセージをお願いします。
悩みすぎずに気軽に相談していただきたいです。相談することで今後の道筋が見え、状況を整理することができます。相談したからといって必ず依頼しなければならないわけではありません。初回の相談で解決できればそれが最善です。私と話すことで問題に向き合うきっかけになればと思います。